扉の中に
嫌なことがあった時は、ぐいぐいと力を込めて色を塗る。
胸のあたりが苦しいからぐいぐいと紙に色を押しつける。
黒いダーマトグラフが気持ちにそって活躍する。
黒く黒く塗って、でも色が定着しないから筆圧をあげる。
僕はふだんは筆圧が弱い。
なるべく力は使いたくないからだ。
でも、今はむしろ力をかけたい。
そして他の色も欲しくなる。
オレンジや黄色は気持ちを転調させる。
黒以外の気持ちも塗っていく。
気持ちを外に出したいから色を塗る。
しばらく作業すると少し落ち着いてくる。
そうしてなんとなく猫を描く。
うちの世話のやける茶トラのオス猫だ。
オレンジ色の猫がチョコレートの扉の中に立っている。
目玉焼きのような花を持って立っている。