tabitamiの日記

日々を生きていくことが旅だ。たくさんの人=たみ。旅する民をラクガキスタイルで表現する。

ゆっくり弁当

仕事で忘れものが多い私だが、お弁当だけは忘れたことはない。

高校生の頃、教科書を忘れてもお弁当だけは忘れなかった。

お弁当は私のオアシス、お守りである。

 

お弁当は自分であるいは家の人に手伝ってもらって作る。

最近のメニューはごく単純。

玄米、生の大根、ブロッコリー、プチトマト、とり肉(ムネをカレー風味)、ゆで卵、

梅干し。

これが基本。

 

お弁当を作るようになったのは小学生の頃。

母が作るお弁当にかなり問題があったため、しかたなくだ。

こう言っては悪いが母はどこか男っぽく、おおざっぱで、

料理があまり好きではなさそうだった。

 

 

例えば玉ねぎ。

これは子どものお弁当に入れるにはレベルの高い食材だ。

子どもの頃玉ねぎはキライだった。

玉ねぎは繊維にそって切り、時間をかけて炒めると甘くておいしいのだが、

働いていた母の朝時間にそんな余裕はなかった。

玉ねぎは茎がついたままブツ切り、強火で鉄フライパンで炒めるから焦げる。

そこへ卵を入れて混ぜる。味付けもへったくれもない。

ご飯は玄米をぶち込む。愛はあるが工夫がない乱暴料理だ。

まわりの子どもたちのカラフルなお弁当の中で異彩を放つ。

恥ずかしい。変に目立ちたくない。

いつもお弁当を隠して食べていたら

「何でお弁当を隠して食べるのよ!」

と隣の女子に大きな声で注意されよけいに目立つことになった。

 

だったら自分で作ればいいじゃん。と思った。

母も文句はない。食材のお金もくれる。

 

僕のお弁当は、まず白米である。

これだけで勝ちだ。

みなさん、玄米を知ってますか?

40年前の玄米を。

とにかく臭い、炊くのが難しい、胃腸で消化しにくい。しかも高価。

プライドだけは高く協調性のない優等生みたいな存在だった。

そこから解放されるのである。

あとは自由自在だ。

とは言え、卵焼きはうまく作れなかったから炒り卵にして、

鶏肉のそぼろとインゲンを茹でて塩パラリ。ちょっと紅生姜をそえて

三食ごはんのできあがりだ。

これでコソコソ隠れてユウウツなお昼時間を過ごすこともない。

 

僕は母より料理が上手いとうぬぼれていたら、

「バカにすんじゃないよ、ヒマな時間があれば料理なんて簡単だ」

と母に言われた。

たしかに女性が外で働いて家事をこなすという毎日はあまりに重労働だ。

朝なんてめちゃくちゃ忙しい。玉ねぎの繊維なんて気にしちゃいられない。

最近になってそんな当たり前なことに気がつく。

今はもういないけど母もゆっくり時間をかけて弁当を作りたかったのかなぁ。

なんてことを考える今日この頃だ。

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三色弁当