斎藤晴彦!
もう、20年ほど前のこと。
吉祥寺の路地を歩いておりました。
何かいい仕事がないかぁなんて自称イラストレーターは考えていたのです。
すると、向こうからガニ股歩きでのっしのっしと歩いてくる男性。
あっ斎藤晴彦だ!
僕はこの人の舞台をたくさん観ていたからすぐにわかった。
クラッシック音楽に乗せて独自の唱法で歌う役者さん。
美声ではないが歌う声にリズムがあり歯切れがよかった。
クラッシック音楽にユニークな光をあてた人とも思う。
僕はこの人がいなかったらモーツァルトやらベートーヴェンなんて興味が持てなかった。
チゴイネルワイゼンにのせてパエリアの作り方を実況中継できたのは斎藤晴彦だけだ。
舞台の上に乗る人は歩き方が違う。
下半身がしっかりしているのだ。
斎藤晴彦はニコニコとしながら通り過ぎて行った。
それだけのことである。
亡くなった日が6月27日で、母と同じ日だったから忘れない。
ずーっと忘れないと思う。