tabitamiの日記

日々を生きていくことが旅だ。たくさんの人=たみ。旅する民をラクガキスタイルで表現する。

イサム・ノグチ展

 

先日、水曜日の午前中にイサム・ノグチ展へ行ってきました。

暑い暑い日で上野駅公園口から美術館までの道のりが砂漠のような感じ。

オアシスを求めフラフラ歩きます。

 

美術館入口では手荷物検査があり、私はカッターを持っていたため(鉛筆を削るために携帯)一時預かりになりました。パラリンピック開催中のためのセキュリティチェックですが、まるでこれから飛行機で海外へ行くような気分。

 

東京都美術館、出入口が地下なんですよね。

エスカレーターで降りて行く時に実はもう展示を見るための演出は始まっているような気がするんです。大きな穴に入っていくゾクゾク感が増します。

 

僕はここ2年ほど美術館へは行っていなかったので、久しぶりの展示鑑賞です。

イサム・ノグチは電車の広告で見てずっと気になっていました。

別に彫刻なんか興味ないよって人も多いと思います。わかるわかる、そりゃそうだ。

 

よく駅前なんかにあるでしょ?なんかモダン彫刻風の難解な彫刻。

業界では有名な芸術品も駅前じゃ、誰も振り向きもしない。

それらとイサム作品とどこが違うのか?確かめたかったんです。

 

で、感想。イサムは本物だな。(駅前が偽物ってことじゃない)

すごく感動してしまった。

たぶん、自分の心理状態が大きい。久しぶりの展示だということと、日常目に映るほこりっぽい風景と全然違い、とても柔らかな空間があった。

 

特に入ってすぐの光の彫刻「あかり」150灯のインスタレーションを見た時にグッと心をつかまれてしまった。学芸員さんの狙ったとおりさ。

 

「ああ、宇宙船が僕を迎えに来た。ここが帰る場所なのだ。ここには柔らかな光や形が充満している。本来自分はこんな世界で生まれたのだ。今まではなんだったんだろう?もう現生であくせくと働く必要などありはしない。 僕はよく生きたよ 。さよなら地球さよ~なら。」

 

という感じ。もともと自分にある現実逃避欲が爆発してしまった。

もしもできることなら、大きなスケッチブックを持参して床にあぐらをかいて興味のおもむくまま観察してスケッチしたい。石の彫刻などは手で触ってザラザラやゴロゴロを確かめたい。まあ、そんな気待ちで展示物をあっちからこっちから眺め、満喫しました。

 

おそらく僕のような存在は美術館の監視員にマークされていたかもしれませんね。

大丈夫。悪いことはしないんだからさ。ちょっと落ち着きないけど、夢中な人ってそんなもんですよ。あまり気にしないで無視してくださいな。

 

イサム・ノグチの仕事を全体として見ると、やはり日本と西洋がうまく合わさったようなところが特徴でしょうか?食べ物に例えるとアンパンみたいな?違うか?

 

今では国籍の違う両親を持つという人は少なくはないでしょうが、時代が戦争中だと状況は辛く苦しいものだったでしょう。ところがイサムの作ったものは柔らかで明るい。

 

 

見通しのはっきりしない今という時代にあって、強くやさしいエネルギーが存在する展示でした。イサム・ノグチ展ありがとう!

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ひかりの彫刻「あかり」