tabitamiの日記

日々を生きていくことが旅だ。たくさんの人=たみ。旅する民をラクガキスタイルで表現する。

僕の道先案内人

僕が10代の終わりにさしかかった頃、これから何をしていいのかわからなかった。

 

それはバレエでローザンヌコンクールに出るという夢が破れてしまったからだ。

不合格や落選、不採用に失恋という門前払いなんて人生にはよくあること。

でも初めての挫折で部屋に引きこもってしまうほどだった。

もう一度挑戦するか、さっぱりあきらめるか。

そこで僕はラクガキを始めた。

 

その頃、母が小学校の音楽の先生をしていて、

作曲家の林光さんがやっていた「うたの学校」

という集まりがあった。小学校の体育館でひたすら歌う。

そこでの発表会を宣伝するポスターを手描きでつくった。

と言っても正式に頼まれたわけじゃない。

勝手に描いた。何十枚も。墨一色で。体育館の壁にずらっと貼って。

それを偶然見た人がいた。

今、水彩画家の永山裕子さんだった。

その頃の彼女は芸大の院生でボヘミアンなお姉さんという感じだった。

彼女はじっと僕のポスターを見ていた。

少し涙目になっていて、何かが彼女の心を震わせたようだ。

そして、僕が描いたことを知って驚いたようだった。

「こんなに大きな人が描いたのですか?」と言った。僕は19歳で小柄だったが。

 

あとでわかったことだが、彼女は小学生が描いたものだと思ったようなのだ。

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風のダンス

僕は今も小学生みたいに描いています。

 

漫画が現実化したのかなぁ

つながっているなぁ。と思う。

 

アインシュタインの稲田さん。

 

この人の顔を見た時に、どこかで見たことがあると感じた。

 

それは杉浦茂の漫画だ。

彼はあの中の能天気な人物に似ている。

もちろん、稲田さん自身は自分の見せ方を心得た知的な人なのだと思う。

彼の作る表情や動作が、杉浦茂の漫画とどこかでつながっている。

 

なんてことを考えながら、湯島のあたりを歩いていたら、霊雲寺があった。

マンションに囲まれているがここだけ空間がぽっかり広がっている。

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湯島 霊雲寺

 

漫画家の杉浦茂さんは、湯島の生まれである。

昭和9年、当時26歳の杉浦氏はこの寺で親戚と記念写真をとっている。

 

テレビのドラマなどで漫画家の話を見かけるが、杉浦先生をモデルにするときは

稲田さんが演じてほしい。生真面目に机に向かって描く漫画は極めてポップで

呑気でシュール。

僕は稲田さんにそんな多層的なものを期待してしまう。

 

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アインシュタイン稲田さん

 

気持ちを外へ出す

みなさん絵を描きますか?

 

誰でも子供の頃に絵を描く。

クレヨンで。鉛筆で。水彩で。

そしてオトナになって、二度と絵を描かない。

 

ヘタだから。お金にならないから。

面白くないから。忙しいから。

 

人によっては正しい判断なのかもしれない。

 

やるべきことは多い。

そして、娯楽や趣味の選択の幅は広い。

 

でも、自分の気持ちを外に出すのに絵はいいよ。

 

ただ、四角や丸を描いて色をつける。

それは絵なのか?

僕はそれも絵だと思う。

いいじゃないか?

たまには客観的な自分を眠らせようぜ。

 

 

 

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2020神保町 KUA AINA

 

 

 

 

 

タビタミたち

みなさんいかがお過ごしでしょうか?

何かと変化の激しい日々でございます。

 

何も変わらないという人。

あるいは希望が持てない不安だという人。

何も考えたくないという人。

夢の中で生きる人。

 

いろいろだと思います。

生きるということが長い旅と考えると、

いまはどのあたりなのか?

迷いながら歩き続けるタビタミでございます。

ほんの少し、顔を上げて

遠くの景色を見てホッとするのも

長い旅には忘れてならぬ一瞬

ではないでしょうか?

 

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people2020

 

 

 

長いお祈り

時間が経過すると、すべてが明らかになると思う。

しかし、今は『暗闇の中、冒険は続いて』いるわけです。

 

マスクが買えなかったり、美術館や図書館が閉館し、

花粉症で鼻水が止まらないような日々。

疑いや疑問の渦巻きがグルグル回ってます。

あんまりな状況。

でも、僕はなるべく明るく過ごしたい。

みなさん、楽しんでいますか?

 

近所のパン屋のフランスパン。

長い袋に入ってた。

そこに二人で絵を描いた。

きっと長いトンネルを抜ける日が来るのです。

ホウホウとふくろうも鳴いています。

 

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ツリーハウス

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天使さん

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おさる、クマ

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旅人と犬

 

別の世界から送信

さあ、2020年が始まっているわけです。

どうも天気がどんよりしていると、パッとしない。

まあ、晴れていたって何かしら文句をつけている。

 

レイモンド・ブリッグズのマンガ絵本に出てくるサンタクロースみたいに、

「やれやれ、まったくたまらんわい」とか言いながら毎朝出かけて行く。

変わり映えのない日常でございます。

 

年賀状は20枚ほど書いたら疲れてしまいました。

やはり、手描きで全てに違う絵を描くということはなかなか大変。

でもね、小学生の頃は手書きで絵を入れて送ってましたよ。

頼まれもしないのにクラスメートの顔をどんどん描いて止まらなくなってしまったり、干支とは関係ないブルース・リーを描いたりなんてね。

印刷なんて手段はなかったのでございます。

プリントゴッコのような装置もパソコンもスマホもなかったのだ。

 

時代はスルスル流れていきます。

ということでね、ゆっくり自分なりの活動をしています。

今は、葉っぱの絵を描くと落ち着く。

どこからかバッハのゴルドベルグ変奏曲が聞こえてくる。

 

最近、検査で聞こえていない音があることが判明した。

なんだろうな?

逆に別の世界の音をキャッチするようになってしまったようだ。

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ゴルドベルグ変奏曲

 

失敗の記憶

皆さんは自費で何か文章を本にしたことがありますか?

僕は自分で漫画を描いて、自費出版をした経験があります。

小さな簡単な本で200冊で10万円ほどかかりました。

 

そこでとんでもない失敗をしてしまいました。

ページ構成を自分でノンブルを書いて原稿を作ったのですが、

順番を間違ったのです。

つまり、主人公がワッと驚くコマの後に次のページで驚きの理由が表現されるページのはずが、いきなり時間がとんだ別のページに続いてしまったのです。

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静かな不条理マンガ

 

これを普通に読んでいくと、シュールな展開の漫画なんだと誤解されてしまう可能性が大きい。というか、わけがわからないでしょう。なんか森田芳光の「家族ゲーム」みたいな感じで。

自分一人で作っているので、だれかに校正されることもなく印刷してしまいました。

 

家に印刷された本が送られてきて、そのことに気がついたときは愕然としました。誰の責任でもなく自分の失敗で、深いため息を着くしかありませんでした。

ハイ、鐘の音お願いいたします。

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坊さん鐘をつく

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深い反省を促す鐘の音

 

何かを始めるときは一人でも、協力者がいるとずっと確かなものが作れるのではないでしょうか?