夜の気持ち
疲れてしまった時は早く眠るに限る。
そうした日々が続いていくと、疲れるのも早く眠ることにも慣れていく。
ある日ハッとする。つまりこうして僕は流されているのだ。
時を刻むことを忘れているぞ。
僕は僕の気持ちを外に出さなければ、死んだように生きているだけだ。
何かやらなきゃ!
という思いにかられるわけだ。
キッチンの引き出しから、スプーンを取り出し見つめる。
超能力で曲げられたら面白いんだが、そんな能力はない。
だから観察してダンボールに割り箸でアクリル絵の具をこすりつける。
その夜はそんな気分だった。
絵は思ったようにはならなかった。いつも期待ばかりが大きいようだ。
選んだ絵の具の色は酒井駒子さんみたいなのになあ。
急に思い出す会話。
「僕はどうしても色使いが薄くなってしまうんだ。色ってその人の業だよね。」
「業だね」って彼女も同意してくれた。
あれ?でも業ってどういう意味でつかっていたのかなぁ。
使い方が間違ってるような気がする。